四柱推命において、比較的に人気のある通変星の「正官(せいかん)」について説明します。正官(せいかん)という通変星は昔の中国では、非常に重要視された通変星です。一例を挙げると、ある家系に男の子が生まれると、即座にその子を八字(四柱推命)で見て、正官(せいかん)が命式にあるか無いかを確認していました。もし、命式に正官(せいかん)があったなら、その正官が良い作用をしているかどうかを確認したそうです(格局と喜神・忌神を出したのでしょう)。
正官(せいかん)が良い作用をしている子がいれば、その子には現在の日本で言えば上級公務員試験に該当する、「科挙(かきょ)」を受けるための英才教育を施したという逸話が残っています。命式に正官(せいかん)が無いお子さんは、英才教育は行わず、そのお子さんの命式に合った職業に就けるような躾や子育てをしたのでしょう。
正官が良い作用をする命式の特徴
正官という通変星が、命式内で良い働きをしている場合は、適度な自制心や忍耐力、我慢する能力、自己調整能力に長けます。中国のような巨大国家にて、国のために働く人間を採用する際に、国側が欲しかった人材(能力)は、「印星が意味する聡明さを持った人物」ではなかったと推測します。
それよりも、正官が意味する、「組織に従順に働いてくれる人間、上司、目上の人間の指示や命令に素直に従える人間、組織内部の和を保って、謀反や反逆を起こさずに長く、落ち着いて働いてくれる人間」だっただろうと推測します。
そのような意味で、「正官が良い作用をしている生まれの赤ちゃん」は、出生の時点で、「上級国家公務員への道」が開けていたと言えます(昔の中国での話です)。一族からそのような「出世する可能性のある子ども」が出れば、それはそれは大騒ぎだったことと思います。現在の日本で例えるなら、「家族から東大試験に合格した子が出た」みたいな感じではないかと思います。それが、「出生して間もない赤ちゃん」に対してですから、何だか想像がつかないです。色々な意味でスケールの大きい中国ならではの逸話です。
その他の正官(せいかん)の良い作用、良い点
私が行う中国式四柱推命における、正官(せいかん)の良い作用、良い意味合いをお伝えします。性格面では落ち着きがあり、穏やか、理性的、忍耐力や辛抱強さが強い傾向です。勤勉で真面目、努力家で、泣き言を言わず黙々と仕事に取り組みます。女性の命式で正官が良好で十分な強さで働いていると、いわゆる、「良妻賢母」と言われるようなしっかりした聡明な母親になれます。男性、女性とも「会社組織勤め」、「社会的な仕事(一例を挙げれば政治家など)」、「公務員」で頭角を現します。独身男女とも、正官が良好で強ければ「良縁」に恵まれやすい傾向です(結婚後も安定した家庭を築きやすいです)。
その他、物事や状況のバランスを保つことが得意です。少しでもバランスが悪くなったり、アクシデント、トラブルやミスにより、良くない状況に陥ると、すぐに「何とかしないといけない!」というトラブル回避の方向に思考が変化します。そして危機を脱するために、マイペースながらコツコツと全力を捧げます。そのような、「バランサー、マネジャー、マネジメント、管理」の役割が上手い傾向があります。
正官年が良くない作用をする命式の特徴
前述した正官が良い作用の意味合いとは反対に、正官が良くない作用をする命式の方もいます。そのような正官が良くない場合の意味合いをお伝えします。ここでは説明していませんが、「偏官(へんかん)」という通変星も正官(せいかん)と似たような意味合い、傾向があります。正官と偏官をまとめて、「官星(かんせい)」と言います。
命式において、正官(偏官)が良くない作用をしている場合、性格面が臆病、気弱、精神面が不安定、心の病に注意がいります。真面目に働き過ぎて過労する、上司に忠実だが忠実過ぎて(何でも受け入れてしまう。嫌なことを嫌と言えない、例えば残業のお願いを断れないなど)、自身の心と体を壊しかねない。対人関係で気後れしたり、恐怖心が沸いてしまう。クヨクヨ悩みやすい、マイナス思考をしやすい。
異性(男性)との交際が楽しくない、男性恐怖症、男性からの暴力、DVを受けやすい、複数の男性と同時に交際するなどなど色々と良くない意味合いが挙げられます。男女とも、うつ病などに注意。お子様はイジメられたり、登校拒否になったりに注意です。女性の命式で、官星が強くて、良好ではない働きをしている方は結婚縁があまり良くないです。働かない男、ストーカー男、DV男、浪費男、暴力男などに引っ掛からないようにご注意ください。男性から少し優しくされると、コロッと落ちやすい方も見かけます。
一般的な簡易四柱推命で言われる、劫財(ごうざい)、傷官(しょうかん)、偏官(へんかん)、偏印(へんいん)が必ず凶星で、食神(しょくしん)、正財(せいざい)、正官(せいかん)、印授(いんじゅ)が必ず吉星(良い星)という時代錯誤(じだいさくご)な考え方をきちんと正していただき、怪しい四柱推命に惑わされて、皆さまが人生を誤らないようにと、こうやってクドクドと本当のことをお伝えしてます。
正官年に大変な人というのは大体、限られます。
正官年(せいかんどし)に運気が下がる方を説明します。それは格局(かっきょく)が、「身弱の内格(みじゃくのないかく)」の方や、「従旺格(じゅうおうかく)」の方などです。それらの格局の方は、正官年は運気が下がるので注意が必要です。
忌神(いむかみ)の正官年(せいかんどし)に起こり得ること
身弱の内格(みじゃくのないかく)の方は正官年に入ると、普段よりもさらに気が弱くなる傾向があり、運気もあまり良くありません。例えば、体調が不安定になったり、病気がちになったり、仕事において対人関係が上手くいかなくなったり、うつ病になったりもあり得ます。
女性の方では、良からぬ相手と交際が始まったりなどです。身弱の内格(みじゃくのないかく)の方にとっての「正官の年(せいかんのとし)」は色々と望まない出来事が起きやすいです。
従旺格(じゅうおうかく)の方にとっても、正官の年は良い年とは言えません。ストレスは掛かりやすい傾向ですし、仕事運や健康運が下がる傾向です。人によっては、誹謗中傷なども急に出てきたりします。女性は恋愛、結婚において、喧嘩や別れなどに注意ですし、相手や自分自身の浮気にも注意がいります。
正官は良い星と信じ込んでる皆さまには申し訳ないですが・・・
正官(せいかん)は良い星とは限りません。正官(せいかん)が非常に良くない作用を与える人もいるのです。しかし世の中には、「正官は最高の吉星」なんてことばかり書いてる本や、ネット上のサイトが未だに少なくありません。字面を見れば「正官(せいかん)」という星は何だか良さそうな星に思えますが、そうとは限らない方もいるということです。
また、正官(せいかん)と偏官(へんかん)の基本的な意味合いとして、正官(せいかん)のほうが品行方正な紳士、淑女な性情で、偏官(へんかん)は少々激しさがあるとかヤンチャなどと言われてますが、そうとは限りません。正官(せいかん)よりも、「偏官(へんかん)」のほうが、その人にとっての品行方正な、正官的な良い星と言える場合があります。これは、中国式の四柱推命における、重要理論の1つの、「十干の特性(じゅっかんのとくせい)」をご存知の方なら理解できる話です。
とあるご相談例・ 正官年に病気になり、仕事も上手く行かなかった女性
数年前、弊社に、とある女性が相談されました。その女性は、とある占い師さんに、「正官年だから、良い男性に出会う可能性が高い」なんて言われたとのことです。しかし、「(正官年に)良い出会いは何もなく、むしろ良くない出会いでストレスです。仕事も上手く行かないし病気になって散々でした」・・・と相談の際に話されてました。
まあ、そういうことが起こり得ることも、正しい四柱推命なら十分に説明できるのです。その女性は身弱の内格(みじゃくのないかく)の方だったので、「正官(せいかん)」は良くない作用を与える星ですから、正官年に仕事が不調、体が不調になったのも、やむを得ないかもしれません。
その、「正官年だから良い出会いがある」と判断したプロの四柱推命占い師の方は、「身強(みきょう)」と「身弱(みじゃく)」の判断をせずに(ご存知なかったのかもしれません)、アドバイスされたようです。それでも、「四柱推命のプロ」としてやってらっしゃるようですから、何と言うか怖いもの知らずな方だと感じます・・。皆さまも、正官が良いか良くないかは、きちんと判断したほうがいいです。
正官が良い作用をする場合の起こり得ること(実例)
弊社(M&L コンサルティング株式会社)の代表である私の実例で紹介します。ここ近年では2018年が喜神正官(きしんせいかん)の年でした。2018年の傾向としては、「仕事環境を整える、改善する、整理する。無駄なものは捨てる。効率化を進める」など、「自分自身の仕事の管理、マネジメント」をあれこれ真面目にやっている印象です。こんな感じの年は開業してから初めてだな~と何となく思ってたら、あることに気づきました。
独立開業したのが2009年で己の年(偏官の年)。2018年が戊の年(正官の年)。開業してから初めて、「正官(せいかん)」の年運が来たということに気付きました。正官(せいかん)は私にとって喜神(きしん)です。喜神(きしん)と私は読んでます。正官という通変星は私にとって喜ばしい神であり、良い運気ということです。年運だけではなく、大運(たいうん)も考慮して、その年の運気を判断するのですが、2018年は大運も良かったです。
なるほど、正官(喜神)の年はこんな感じなんだと、改めて実感できました。簡単に一言で言えば、「真面目に働く年」でしょうか。「仕事熱心になる年」とも言えるでしょう。2018年は、2009年の独立開業以降、1番、真面目にさぼらずに働いた気がします。